言語聴覚士 国家試験合格への道 サウンドスペクトログラム⑤まとめ
今まで長々とサウンドスペクトログラムのことを書いてきました。
あまりにも膨大な内容でしたが、ここでは国家試験の為に簡単に選択肢が絞れる方法を考えていきたいと思います。
このタイプの問題は最近かなりの頻度で出る問題ではありますが、しょせん1問しか出ないと言ってしまえばそれまでです。
とても音響学が苦手な人は、今回の内容を知っておけば2択程度には絞れるかと思います。
時間が限られている中で、効率よく確率を上げられる内容であったら幸いです。
[サウンドスペクトログラムのまとめ:これだけは知っておきたい編]
1.最初に時間で切ろう!
2.わかりやすい子音で選択肢を絞る
3.母音の形で最終確認!?
1.最初に時間で切ろう!
第1回目で見た内容です。
音を分析する前に、1音1音を切っておくことを先にしておきましょう。
1音1音の時間はほとんど同一になるので、選択肢のモーラ数から1音の長さを測定していくことで切ることができます。
過去の国家試験で1度だけ、時間で切ることによって選択肢を絞ることができましたが、さすがに今後そのようなことはないと思います。
しかし、分析する最初のステップとして1音1音のサウンドスペクトログラムの様子を見ておきましょう。
2.わかりやすい子音で選択肢を絞る
過去にも言ったかもしれませんが、国家試験の時には1音1音がすべて分析できる必要性はありません。
なぜなら選択肢があるからです。
そう考えていくと、分かりやすい子音を見分けることによって、正解にぐっと近づくことができます。
私が考える見分けやすい子音は、第2回目で見ていった「破裂音」と「摩擦音」です。
無声破裂音の場合、無音区間と呼ばれるような音の全くない真っ白な部分がみられます。
(上の図の赤枠で囲まれた部分)
このような部分はとても目立つので、サウンドスペクトログラムを見るうえで迷うことがほとんどないかと思います。
また、摩擦音では高周波数域に雑音成分が認められるため、これもぱっと見で判断がつきやすいです。
(赤枠で囲まれた部分)
ここで挙げた「破裂音」や「摩擦音」を見分けられるだけで、選択肢がぐっと絞られる(あわよくば正答に至る)ことが多くあります。
*詳細は第2回に書いてありますが、語頭の「破裂音」「破擦音」は注意です。
3.母音の形で最終確認!?
前回の内容です。
母音はよほどたくさんのサンプルがない限り、1つ1つを確定させることは困難です。
しかし、数個の母音を比較できる状況ならば、選択肢を絞ることは可能だと思われます。
前回もお伝えしましたように、母音の弁別には第1ホルマント(F1)と第2ホルマント(F2)の位置関係が重要とお伝えしました。
もし、「成人男性話者」という国家試験の問題を見たときは、F1が大体300~800Hz辺りにあり、F2が1,000Hz~2,000Hz辺りにあると予想したうえでサウンドスペクトログラムを見ると、大体見分けることができます。
実際の位置関係は以下の図のとおりになります。
実際のサウンドスペクトログラムでの使い方としては、
①各母音のF1、F2を見極める
②隣の母音とF1、F2の幅を見比べる
③選択肢を見ながら選択肢を絞っていく
*例えば1音目の母音の幅が広く、2音目の母音の幅がそれよりも狭く、3音目がさらに狭くなっていたとします。
そうなると、1音目「い」→2音目「え」or「う」→3音目「あ」or「お」の可能性が高いと考えられます。
このような形で考えていくことで選択肢を絞ったり、正答かどうかの確認を行うことができるかと思います。
この3つで今までの国家試験の過去問のほとんどが正答or2択程度には絞られるのではないでしょうか。
もちろん、もっと知識があればさらに正答に近づくことができます。
しかし、残り少ない国家試験までの日数を考えると、この知識だけでも十分な人もいると思います。
残りの時間を考えながら、国家試験合格の近道をしていただけたらと思います。