言語聴覚士 国家試験合格の道~模擬試験との付き合い方~
かなり久しぶりの更新となりました。
私事ですが、長年勤めていた言語聴覚士養成校の教員を退職し、国家試験塾の開設に向けて準備をする毎日を過ごしています。
今年度国家試験を受験される皆さんは、新型コロナウイルス感染症に翻弄されつつ、実習や就活、卒業研究、国家試験勉強と忙しい毎日をお過ごしのことと思います。
今年も大変な年になるでしょうが、皆さんが無事に来年の3月を迎えられることを祈っています。
今回は、最終学年の皆さんが(多分)何回か受験される模擬試験について考えていきたいと思います。
(ちょうど塾の模擬試験を作っていたので・・・)
私は自校で作成したもの、他校で作成されたもの、複数の養成校で作成されたもの、業者のもの等、様々な模擬試験を見てきました。
そして、それらを受験した学生たちの様子や、どのような経過をたどるのかをたくさん見てきました。
その中で感じるのは、模擬試験は薬にもなれば毒にもなるということです。
皆さんにとって少しでも薬になるような模擬試験との付き合い方を見ていきます。
[模擬試験との付き合い方]
1.模擬試験の点数に一喜一憂しない
2.模擬試験の問題にこだわりすぎない
3.模擬試験を活かすには
1.模擬試験の点数に一喜一憂しない
多くの模擬試験は、国家試験同様に午前100問、午後100問の5択式を試験時間各150分で行われていると思います。
そうなると意識するのは、国家試験合格ラインである120点を超えるかどうかになると思います。
「120点より15点低かった」「122点あった(嬉)!」など、模擬試験を返された学生たちは大騒ぎです。
しかし、その模擬試験は本当に国家試験と同様の問題レベルですか?と問われるとそういうわけではありません。
出題傾向に偏りがある、内容が古い、問題が難しすぎる(易しすぎる)、問題文が意味不明、国家試験と形式が微妙に違う(選択肢の選ばせ方が違う)など、国家試験とは似ても似つかない模擬試験も多く存在します。
点数が極端に低く出たとしても大きな問題がないという事も少なくありません。
どのような模擬試験なのかを養成校の教員に確認し、今の時期にどれぐらいの点数が必要なのかを確認しましょう
また、国家試験勉強が本格化する前の模擬試験の点数も極端に気にする必要がない場合があります。
模擬試験を受験してみた手ごたえはいかがでしょうか?と問うと、「2択・3択までは絞れるけれどそこからは分からなかった」「全く何を言っているか分からなかった」など、「これだ!」とバシッと答えが分かるという事は少ないです。
国家試験に安定して合格できるには、迷わずに答えられる比率をいかに上げるかにかかってきます。
逆に絞れるけれども答えがはっきりわからないレベルだと、その時の運・不運に影響されやすく、±15点くらいは変動することも珍しくありません。
点数は高いに越したことはありませんが、必ずしも実力を十分に反映していない事もあります。
昔いた学生の中に、学校の成績は低迷しているものの11月までの模擬試験の成績が良かった学生がいました。
その学生は「これが自分の実力ではない」と思って勉強を継続していましたが、その後の模擬試験の点数が低下していきました。
原因ははっきりとは分かりませんが、運が良すぎて点数が高く出たのではないかと考えています。
2.模擬試験の問題にこだわりすぎない
模擬試験が終わると、模擬試験で出てきたマニアック問題を必死に調べている学生が少なくありません。
問題を見てみると教員でも初めて見るような内容だったりします。
模擬試験は決して国家試験委員が作成したわけではありませんし、出題基準をしっかり確認して作問したとは限りません。
問題によっては国家試験で1度も出題されたこともなく、かなりマニアックな問題も少なくありません。
模擬試験問題はどこまでいっても模擬試験です。
その問題が実際に国家試験問題に出題されるかどうかはか、なり怪しいと考えて問題ないと思われます。
このブログでも何回か述べていますが、国家試験は120点/200点取れば合格になります。
マニアックすぎる問題にとらわれるあまり基本的な問題を落としてしまうのは本末転倒です。
そのような問題に過度にこだわる必要はありません。
3.模擬試験を活かすには
模擬試験は言うまでもなく本番の国家試験に合格するためのものです。
模擬試験の点数でやる気を失ったり、わけのわからない問題に振り回されたりしては模擬試験を受けることが毒にもなりかねません。
模擬試験を活かすポイントを見ていきましょう。
①本番を想定した受験になっているか
模擬試験だといって本気で受験しない人がいます。
持ち物の準備ができていない、遅刻する、試験中に寝ている、諦めて早々に退室するなどです。
しかし、このような人たちであっても国家試験の本番ではこのような行動はしないと思います。
そうなると、この模擬試験で出た結果が国家試験当日を予測するものとしての信頼性が欠けることになってしまいます。
国家試験当日のように、自分が選んだ解答を試験問題にチェックしながら、見直しを含めてきちんと実施することが国家試験の準備になります。
最初はマークシートを100個塗るだけで疲れてしまうかもしれません。
150分も集中が続かないかもしれません。
時間内に終わらないかもしれません。
自分の解き方をしっかり認識して、本番では失敗しないように準備することが重要です。
②問題の見直し
模擬試験の問題がもらえるならば見直しをしても良いでしょう。
しかし、見直しもやり方を失敗すると毒以外の何物でもありません。
問題がもらえる模擬試験ならば、問題を解きながら印をつけると良いです。
自信があるのを◎、2択まで絞れたのを〇、知っている内容だけれど絞り切れないのを△、全くわからないのを×などとつけておきます。
まず確認するのは◎からです。
知識として身に着けたものが本当に正しいのかをチェックしていきます。
次は〇、最後に△の部分を見ていきます。
×についてはひとまずスルーでもよいと思います。
自分の知識のあいまいな部分をしっかり模擬試験で抽出し、しっかりと固めていくのが重要と考えます。
解けそうなのに解けない、という問題を丁寧に潰していくことで確実に点数を伸ばすことができると思われます。
そういうことを積み重ねていって、最終的に×をつけたような問題にチャレンジできるようになるのかな、と思います。
模擬試験が皆さんにとって羅針盤のような存在になる事を祈っています。
結果に一喜一憂せず、出来ることから少しずつ勉強を進めていってくださいね。