STkokushiのブログ

言語聴覚士の国家試験合格を支援するサイトです

言語聴覚士 国家試験合格への道 ~言語学・音声学 アクセント解説④

あっという間の年末ですね。

いつも以上にバタバタした1年でした。

受験生の皆さんも様々な影響を受けたのではないでしょうか?

そうは言っても残り2か月です。

良い年末にしてもらえればと思います。

 

今回でアクセントシリーズは最終回になります。

[言語学・音声学 アクセント解説④]

1.複合名詞とは

2.複合名詞のアクセント

3.国家試験の中の複合名詞

 

1.複合名詞とは

複合名詞とは2つ以上の名詞が複合して1つの名詞になったものを言います。

例えば、「秋田」と「犬」という名詞をくっつけて、「秋田犬」のような1つの名詞になることです。

国家試験で出題されるのは、2つの名詞が複合して1つの名詞になった場合のみですので、今回は限定して説明していきます。

言語聴覚士の用語にも多くの複合名詞があります。

「伝導失語」「構音障害」「聴覚失認」「言語発達」など、多くの用語が複合名詞です。

複合名詞自体はとても多く見られており、ありふれたものになります。

 

2.複合名詞のアクセント

複合名詞に含まれる名詞にはそれぞれアクセントルールが設定されています。

しかし、複合された場合、複合した2つの単語を別々に言うときと同じアクセント型をそれぞれ保つということはありません。

複合名詞は基本的に名詞のアクセントルールに従います。

例えば、きた(秋田)+まちあきたこまち

になる場合、きたまち だと1つの名詞には2つ以上のアクセント核を持てないというルールから外れてしまいます。

従って、きたこまち のようにアクセント核が移動します。

 

では、どのようなルールになるのかと言うと、後ろにつく名詞のモーラ数によって異なってきます。

①後ろの名詞が1or2モーラの場合

大半が前半の名詞の最終モーラがアクセント核になります。

きた(秋田)+(市)=きた秋田市

 

一部、平板型になるパターンもあります。

ぜん(午前)+ちゅ(中)=ぜんちゅう(午前中)

 

②後ろの名詞が3or4モーラの場合

この場合のみルールが複雑です。

Ⓐ後ろの名詞が平板型アクセント、尾高型アクセントの場合

アクセント核は後ろの名詞の1拍目になります。

(冬)+すみ(休み)=ゆやすみ(冬休み)

 

Ⓑ後ろの名詞が頭高型アクセント、中高型アクセントの場合

後ろの名詞のアクセント核と同じになります。

りつ(市立)+しょかん(図書館)=りつとしょかん(市立図書館)

 

③後ろの名詞が5モーラ以上の場合

後部名詞のアクセント核と同一になります。

きた(秋田)+しょうがっこう(小学校)=きたしょうがっこう(秋田小学校)

 

3.国家試験の中の複合名詞

複合名詞の問題は動詞(形容詞)とは異なり、そこそこの割合で出題されています。

言語学で出題されている場合、例外を問うような問題になっておりかなり難易度が高いです。

第17回問題43「共通語(東京方言)のアクセントからみて1語になっていないのはどれか」

第18回問題142「共通語(東京方言)の複合語のアクセント規則に従わないのはどれか」

それに対して、音声学で出題される場合は基本的な事を問われる可能性が高いかもしれません。

第21回問題137「共通語(東京方言)のアクセントの説明で適切なのはどれか」

選択肢d.「複合名詞のアクセントは、原則として後ろから3拍目までが高い」

というのがありました。

最近の出題傾向を見ると、言語学でアクセントの問題を出されておらず、音声学のみになっています。

複合名詞の出題自体とても少ないので何とも言い難いですが、そこまで神経質にならず、基本的な内容を知っておく程度で大丈夫な気がします。(だからと言ってマニアックな問題が出ないという事を保証するわけではありません)

 

どの内容をどこまで深く学習するのか、というのは国家試験勉強をするうえでジレンマの1つですが、アクセントに関しては

名詞 >> 複合名詞 >>>>>動詞(形容詞)

の順ではないかと思います。