言語聴覚士 国家試験合格への道 ~第21回で国家試験は変わったのか?①
新型コロナウイルスに翻弄される日々です。
教員も大変な日々ですが、学生の皆さんの不安な気持ちを日々感じます。
新入生の皆さんは、「こんな学生生活になるなんて・・・」
実習前の皆さんは、「実習本当にあるの?実技も全然練習できていないし・・・」
最終学年の皆さんは、「国家試験はあるの?」と言った不安の声が聞こえてきます。
*国家試験はよほどの状況にならない限り、例年通り実施されるようです。
先のことは本当にわかりませんが、復習や国家試験の勉強などできることをやっていくしかないですね。
さて、今回は第20回から第21回の国家試験の変化について見ていきたいと思います。
[第21回で国家試験は変わったのか?①]
1.10年に1回来る大変化!?
2.出題傾向の変化?難易度の変化?
3.もう1つの要因!?言語聴覚士テキスト改訂
1.10年に1回来る大変化!?
まだ22回目の言語聴覚士国家試験にもかかわらず、まことしやかに言われている都市伝説!?があります。
それは「10年に1回大きな変更が加えられる」というものです。
第10回→第11回の時は、今まで午前:専門基礎科目、午後:専門科目だったものが、午前・午後ともに専門基礎科目+専門科目(現在の状態)に変更されました。
これに伴ってか分かりませんが合格率が極端に落ちました。
第10回69.5%→第11回57.3%と-12.2%でした。
これに似たようなインパクトを残したのが第20回→第21回でした。
合格率を見てみると
第20回79.3%→第21回68.9%の-10.4%と、10年ぶりの10%以上の下落となりました。
これは10年に1度の大変化によるものだったのでしょうか?
2.出題傾向の変化?難易度の変化?
第10回→第11回のような、目に見えるような大きな変化があったかと言うと、第20回→第21回ではなかったかのように思います。
出題傾向の変化はなかったかを見ていくと、言語学・失語症などは顕著な変化が見られました
言語学は統語論に偏っていた傾向が形態論にシフトし、今まであまり出題されてこなかったものが集中的に出題されていました。
失語症はそれまでの過去6年と比較して、出題傾向が変わり、症状の問題に比重が置かれていました。
下図のように、色分けしてみると全く違うというわけではありませんが、今までの流れと少し違う事がうっすらと分かります。
難易度はと言うと、失語症、心理学系(特に学習認知心理学・心理測定法)辺りの難易度が急上昇した印象があります。
医学系は難易度が様々だと感じましたが、難問・奇問が混じるのは例年通りなので、著変なしと感じました。
言語発達障害などは臨床寄りの問題が増えておりますが、今に始まったことではないと感じました。
3.もう1つの要因!?言語聴覚士テキスト改訂
この年の3月、すなわち第21回の国家試験が終わった直後に「言語聴覚士テキスト 第3版」が出版されました。
言語聴覚士テキストは言うまでもなく、言語聴覚士の国家試験を戦う上で必携の1冊だと思います。
第2版と第3版を見比べてみると、情報が大きく変わった科目、読みやすくなった科目、内容が薄くなった科目など様々だと感じました。
第2版を読んでも解けないが、第3版を読むことで解ける問題が確実にあるという印象を受けました。
(もちろん言語聴覚士テキストでは解けない問題も多々あります)
出版前の第3版の内容が第21回にそこそこ使われていて、後出しじゃんけんかよ!と正直思う所がありました。
しかし、内容が改訂されるという事は、第2版の内容では古くて現在では通用しない事を意味します。
【結論】
今回、第21回の国家試験によって大きな変化が見られたのかを見ていきました。
結論としては「大きな変更は加えられていない」と私は判断します。
しかし、科目内では細かな変更が随所にみられており、臨機応変な対応が必要であると感じました。
言語聴覚士テキストの改訂は6~7年に1度と思われますが、言語聴覚士の国家試験で問われる内容は毎年更新されていきます。
この事実をしっかりと理解したうえで、毎年の変化に敏感になっていく必要があります。
次回は変化する科目内容をどのように追っていくのかを考えていきたいと思います。