STkokushiのブログ

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言語聴覚士 国家試験合格への道 ~経験はこの世の中に満ちている

 暑い!! 新型コロナウイルス!! 実習の危機!!

頭がくらくらする毎日を過ごしています。

学生もそれに振り回されて本当に大変だなぁと思います。

先の見えない日々で、落ち着いて勉強するのも大変な日々を過ごしていると思います。

そんな皆さんに有益な情報を届けられたらと思っていますが、私自身もうまく時間が取れない日々です。

そんな中、学生との会話での気づきがあったので紹介いたします。

 

[経験はこの世の中に満ちている]

1.超皮質性感覚失語を忘れない学生

2.自ら経験する機会を増やそう

3.経験したことは応用できる

 

1.超皮質性感覚失語を忘れない学生

国家試験勉強している学生から、「覚えることが多すぎて大変です」という言葉をよく聞きます。

そんなときに思い出す学生がいます。

その子は国家試験に1度落ちてしまった学生でした。

全体的に知識は曖昧でしたが、超皮質性感覚失語だけは何を聞いても答えられました。

なぜかというと、臨床実習で担当した症例が超皮質性感覚失語だったからです。

実際に症例を経験し、必死に調べたことが忘れられない知識になったのだと思います。

(その後彼女は1年で国家試験に合格しました)

皆さんもこのように知識と経験ががっちりと結びついた記憶ってありませんか?

そういう記憶は中々忘れないですよね。

しかし、国家試験の勉強をしていると、ほとんど経験をしたことがないと考えてしまいます。

そのため冒頭の学生のように暗記するだけに偏ってしまう事になります。

 

2.自ら体験する機会を増やそう

先日、国家試験の過去問解きをしていると「裏声発声だと声門開放率が高くなるというのが何を調べても分かりません」という質問を受けました。

私が「では、それについて答えを教えたらあなたはどう理解するの?」と聞いたら、

「ノートに書いて覚えます」と答えました。

一見問題がないやりとりに思えますが、私は問題ありだと感じました。

 

ノートに書かれた裏声の内容はこの後どのように理解されるのでしょうか?

多分このままだと、単純に暗記するだけしかないように思います。

 

このような場合、実際に裏声発生をしてみてはいかがでしょうか?正常発声から裏声発声まで連続的に発声してみて、呼気の流れや、声帯のどの辺りが振動しているかを自己モニターしてみたらどうでしょうか。

そうすると、裏声発声の時に声門開放率が高くなっているのが感じられると思います。

加えて、低い声の時よりも声帯が引っ張られて薄くなっているのを感じるかもしれません、声帯全体ではなく辺縁で振動しているのを感じるかもしれません、輪状甲状筋が緊張したことで甲状軟骨が上に引っ張られるのを感じるかもしれません。

経験してみたら、1つの知識以上に色々なことに気づくことがあると思います。

 

これに関連して思うのは、言語学・音声学が苦手な学生も同じ理由なのかなという事です。

皆さんもご存じのとおり、言語学や音声学(IPAの問題を除く)の問題は、基本的に同じ選択肢になることが少ないです。

Q.言語が指し示すものとそれを示す言語記号の間には必然的な結びつきはないという言語現象は何か?

A.恣意性

のような問題の場合、1問1頭形式になります。

しかし、このような問題が言語学・音声学で出題されることはまれで、

Q.下記の例文の中で「~ている」の使われ方が異なるのはどれか?

のように、毎回違う選択肢の問題がほとんどです。

このような問題も、ただ解説を読んで「なるほど」で終わってしまったら先ほどの例と一緒です。

もう一歩踏み込んで、「~ている」の用法が異なる例文を自分で考えてみたり、友達に「~ている」を使った例文を出してもらって考えるという経験が必要になります。

このような経験を積んでいくことで、本当の意味で理解できるのではないでしょうか?

 

この方法は確かに時間がかかりますが、実力がつくのは間違いないと思います。

 

3.経験したことは応用できる

言葉や音声はあまりにも当たり前のようにこの世の中を飛び交っています。

そして忘れてならないのは、自分自身もそれを使っているという事です。

言語聴覚士の専門科目であったり、医学の疾患というのは自分で体験するというのは難しいです
しかし基礎科目の中には自分で触れたり、考えたり、声に出したり、聞いたりすることで理解できるものがたくさんあると思います。
このような体験が理解を促進するだけでなく、教科書に載っていないような単元が出たときの応用力にも結びついて行くと思います。

そして、臨床場面でもこのような体験が患者さんの役に立つことはあります。

 

 国家試験の勉強となると、机にかじりついて暗記するというイメージが強いかもしれません。

暗記すれば点数が伸びるというジャンルもありますが、それがすべてではありません。

もっと身体を使って、考えて経験を増やすという事にも意識してみて下さい