言語聴覚士 国家試験合格への道 ~新しいトピックスが出題されるまでに何年かかる?
[新しいトピックスが出題されるまでに何年かかるか?]
1.検査編
2.診断基準編
3.考察
1.検査編
まずは、新しい検査が発行されてどれぐらいで出題されるかを見ていきたいと思います。
ざっと思いつく検査を挙げてみました。
DN-CAS(2007年)→2011年(第13回出題)
WISC-Ⅳ(2010年)→2012年(第14回出題)
SALA失語症検査(2004年)→2017年(第19回出題)
標準ディサースリア検査(2004年)→未出?
WAIS-Ⅳ2018年発売→未出
最短はWISC-Ⅳのわずか2年でした。
*厳密にはWISC-Ⅳは2010年12月に完成していることから、1年3カ月になります。
しかし、この時出題された問題はと言うと、「この中で記憶機能が評価できないのはどれか」という問題でした。
WISC-Ⅳの詳細を知っている必要があるというより、ある程度WISCで評価できる内容を知っていれば解ける問題でした。
(WISC-Ⅳの詳細が出題されたのは2016年(第18回出題)かと思われます)
SALA失語症検査は出題されるまで13年の歳月がかかりました。
2.診断基準
ここ最近で大きな変化はDSM-5への変更だったと思います。
DSM-5は小児分野(特に言語発達障害学)や精神医学、臨床心理学などに多大な影響がある診断基準です。
DSM-5(2014年)→2017年(第19回出題)
となります。
では、その前の基準であったDSM-Ⅳ-TRは最後いつ出題されたかと言うと、2012年(第14回出題)となります。
2012年 DSM-Ⅳ-TR最終出題
2014年 DSM-5 日本語訳公開
2017年 DSM-5 出題
という流れになります。
3.考察
今までの流れを見ていくと、大体のルールがあるように感じます。
WISC-Ⅳがわずか2年で出題されたのは異例でした。
ウェクスラー式という超メジャーな検査であることを考えれば、大雑把な内容は知っておくべきというメッセージかもしれません。
しかし、検査や診断基準の詳細が出題されるのは最短でも3~4年かかることが分かりました。
これは日本国内での浸透状況を見極めたり、養成校で新しいトピックスを教育するまでのインターバルを考慮したりしていると思われます。
もう1つ大事なことは、DSM-5のように旧から新に移行している時は、旧も新も両方出題されないという事です。
現在ICD-11が2019年に公開され、現在和訳されている最中と思われます。
そう考えると、ICD-10もICD-11の問題も両方出題されないのではないかと推測されます。
意外だと感じたのは、標準ディサースリア検査が未出ということです。
これは国試出題者の兼ね合いや、種々の大人の事情がからんでいるのかもしれません・・・
今年は新型コロナが流行したので、今年は感染症の問題が出るのでは?と思っている方もいるかもしれません。
国家試験は1年前に作られていることや上記の説明から、すぐに出題されるとは考えられません。
新しいトピックスは臨床上とても重要ですが、国家試験を考えるときはいつに出たものかを確認しておきましょう!!